キング・ムエ佐藤孝也氏がムエタイで勝つ為の100の法則をキング・ムエ日記に書いている。
ムエタイを知らない人にも知っている人にも読んで欲しい内容だ。
今回のサブタイトルは~ジョーダン・コー選手について~
2017年3/26(日)「ムエタイで勝つ為の100の法則」第2回目のセミナーを開催!
その⑦はこちら~セーンマニーの強さから見る、サウスポーの特性~
その14はこちら~メジャースタジアムのチャンピオンになるには?~
その16はこちら~グーにはパー、パーにはチョキ、チョキにはグー~
その19はこちら~一番ダメなのは動きの美しさがないこと!?~
その20はこちら~7/29(金)福田海斗VSトゥッカターペット戦の判定について~
その21はこちら番外編 ~日本で行われるメジャースタジアム・タイトルマッチについて~
その22はこちら番外編 ~日本で行われるメジャースタジアム・タイトルマッチについて(中編)~
その23はこちら番外編 ~日本で行われるメジャースタジアム・タイトルマッチについて(後編)〜
その24はこちら~タイ人潰し・・・ローキックとフットワークの2段構え~
その25はこちら〜わかりにくい(と言われる)ムエタイの判定をわかり易く~
その26はこちら〜ムエタイのエッセンスがぎっしり詰まったこの試合~
その29はこちら〜ワンチャローンKO負け!から何が見えるか?~
その30はこちら〜わかりにくい(と言われる)ムエタイの判定をわかり易く~
昨日飛び込んできたこのニュース、
【訃報】2月に来日、悠矢に勝利したジョーダン・コーが練習中に急死
Scottish Muay Thai boxer dies probably from heat stroke
タイの一般紙「バンコクポスト」にも掲載されていました。
実は、
昨日早い時点から、タイの友人達からこの件について情報が入ってきました。
当初、このジョーダン・コー選手のことは知らなかったんです。
ですが、あまりにいろいろな情報が入ってくるので調べてみると、先日のNJKFの興行で大和ジムの悠矢選手と対戦した評価の高かった選手とわかり、ムエタイ情報として慌てて「MuayThai Super Fight」のツイッターで発表しました。
日本での試合、自分は見ていませんがかなりインパクトがあったのでしょう、コー選手急死のツイッターは瞬く間に拡散されていきました。
そして、何より多くの格闘技関係者にとってショッキングだったのは、
「試合を控えたコー選手がサウナスーツを着てロードワークに行って、そのまま帰らぬ人になってしまった」
という事実でしょう。
減量する選手にとって、
何百グラムというギリギリの体重を落とすため、サウナスーツを着込み走ったりストーブの前で毛布を被ったり、またはサウナで汗を絞り出したり・・・というような事はみんな経験があるはずです。
減量という大義名分がある場合は仕方ないにしても、普通に考えればただでさえ水分量が少ない状態でさらに発汗を促すという行為は、体に不調をきたすのは当然。
これは自分のイメージですが、
日本の選手達はそのギリギリのラインーーー体に不調をきたさず、最大のパフォーマンスを発揮できるラインーーーをうまくコントロールしている選手が多いように思います。
日本での試合の場合、
基本的には前日計量が主流、その前日計量であっても計量1回目でぴったりクリアする事が求められます。1回目でオーバーしたりすると調子が悪いのではないか、とか、減量がキツイのでは?などと言われてしまいます。
そんな事情もあってか、日本の選手は減量することや体重調整に関してはタイ人選手よりずっと先をいっているような気がします。
方や、
タイでの試合の場合、このコーナーで何度も紹介していますが、基本的には当日計量。
しかも、特にメジャースタジアムの場合は、計量の意味合いが違ってきます。どういうことかというと、単に契約体重に合わせるという意味だけでなく、既に賭けのための情報戦が始まっているのです。
最初の体重は何ポンドか、
何回目でクリアしたのか、
その際の調子は、等々・・・、
ギャンブラーは既にそこからどちらの選手が有利か、を判断しているのです。
そういうこともあって、
1回目の計量でクリアという事はほとんどありません。
1回目でクリアしてしまうとそれだけ体が小さい、と判断されてしまいます。体が小さい方は賭けに不利となるのは理解できますよね。
仮に体重的に減量なしであったとしても、1回目は必ずオーバーさせるはずです。
その背景には、
タイは暑いからちょっと走れば楽に体重を落とせる、という考えがあるのでしょう。
試合当日の朝、予備計量後スタジアムでサウナスーツを着込んだ選手が走っている姿は、当たり前の光景です。
選手にしても、日本に比べて試合の頻度は高いですから、減量に時間をかける事はしないのが一般的。
選手やジムの指導方針にもよりますが、1週間前くらいから気をつけて、実際に落とすのは2~3日でしょう。当然、一気に落とすことになるわけです。
そのため、前述のようにサウナスーツを着込んで走る、のです。
もちろん、このやり方については否定しません。
ムエタイとしては仕方のないことですし、短い試合感覚でさらに長い時間をかけて減量していると、それこそずっと減量していることになってしまい、精神的な負担が多いかもしれない。
しかし、やはり危険が潜んでいるということは覚えておくべきでしょう。
タイでの試合経験が豊富で、長いことタイでの生活していたコー選手でさえ、こうしたことが起こり得るのです。
熱中症の危険については、日本では充分に啓蒙されており誰でも知っていることのはず、でもタイで練習していると、タイのやり方が当たり前になってしまい、こうした知識が埋もれてしまうのかもしれません。
ジム側としても、せめて同伴者をつける、トレーナーがバイク等で並走する、といった対策が必要。
もし、タイであなたが減量が必要でサウナスーツを着込んで走らなければいけない、という状況になったらトレーナーかジムメイトについてきてもらってください。
それもかなわないようなら、せめてロードワークコースのコースにあるであろう屋台のオバちゃんに見ててもらってください。
今回の悲劇が2度と起こりませんように。
コー選手のご冥福をお祈りいたします。
2015年8月22日「タイファイト」ビクター・ピントvsジョーダン・コー
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