キング・ムエ佐藤孝也氏がムエタイで勝つ為の100の法則をキング・ムエ日記に書いている。
ムエタイを知らない人にも知っている人にも読んで欲しい内容だ。
今回のサブタイトルは~わかりにくい(と言われる)ムエタイの判定をわかり易く~
その⑦はこちら~セーンマニーの強さから見る、サウスポーの特性~
その14はこちら~メジャースタジアムのチャンピオンになるには?~
その16はこちら~グーにはパー、パーにはチョキ、チョキにはグー~
その19はこちら~一番ダメなのは動きの美しさがないこと!?~
その20はこちら~7/29(金)福田海斗VSトゥッカターペット戦の判定について~
その21はこちら番外編 ~日本で行われるメジャースタジアム・タイトルマッチについて~
その22はこちら番外編 ~日本で行われるメジャースタジアム・タイトルマッチについて(中編)~
その23はこちら番外編 ~日本で行われるメジャースタジアム・タイトルマッチについて(後編)〜
その24はこちら~タイ人潰し・・・ローキックとフットワークの2段構え~
その25はこちら〜わかりにくい(と言われる)ムエタイの判定をわかり易く~
その26はこちら〜ムエタイのエッセンスがぎっしり詰まったこの試合~
その29はこちら〜ワンチャローンKO負け!から何が見えるか?~
前回10月31日のこのブログで書いた、判定のわかりにくさについてですが、
あ、いや、
全然わかりにくくなくて、ムエタイのポイントを押さえておけば自ずとわかり易くなるので、そのポイントを今日も紹介してこうと思います。
今日選んだ教材となる試合はこれ↓
11月30日(水)のラジャダムナンスタジアム「スック ワンソンチャイ」第5試合、ギンサーンレックvsペットスパン戦。
ギンサーンレックは次世代のスーパースター、プロモーターであるソンチャイ氏も手塩にかけて育てているエース候補。
対するペットスパンもルンピニーのミニフライ級3位にランクインする強豪、今年5月にはスパンブリー県での興行で福田海斗と対戦し勝利しています。
この試合、
最終的にギンサーンレックの4RKO勝ちなんですが、ペットスパンが倒されたわけではなく、レフェリーが、
「これ以上は無理」
と試合を終わらせた、と言った方が適切でしょう。
それくらい差がついてしまった、ということです。
それがどこか?というのが今日の本筋ですが、順番に見ていきたいと思います。
まずは第2ラウンド。
特に大きな動きはありませんが、ギンサーンレックのほうが圧力あります。
このお互いの戦い方を見ると、試合前掛け率はペットスパンのほうがリードしていたのかもしれません。ご存知の通り、試合前、ワイクルー後等々、掛け率が刻々と変わります。戦前の予想や過去の対戦などから「きっとペットスパンが勝つだろう」とペットスパンに賭けていたギャンブラーが多かったのかもしれませんね。
試合前掛け率をリードしている方は、定石通り1、2ラウンドをディフェンスシブにやり過ごして、3ラウンドあたりから攻めればいい。逆に、掛け率でリードされている方は1、2ラウンドで掛け率をイーブンくらいまで戻していかないと、3ラウンドあたりはもっと厳しくなる。相手も出てくるから。
まぁ、
ペットスパンはどちらかというと、相手の出方を待つタイプなので一概に掛け率をリードしていたとは言えませんが。
そして第3ラウンド。
ほぼこのラウンドで決まってしまったと言って良いでしょう。
まず出くわすのは蹴り足のキャッチの場面。
ペットスパンがギンサーンレックの左ミドルをキャッチして、コカそうとしたりパンチを当てようとするのだけど、ギンサーンレックはコカされずパンチももらわず。
逆にその後、ペットスパンの蹴り足をすくってあっという間にコカすギンサーンレック。
これは掛け率動きますねぇ。
蹴り足をキャッチするというディフェンスは、必ずその後コカしたり攻撃を当てないといけない。
一番悪いパターンはキャッチされた方が踏ん張って、キャッチした方が何もできないこと。
”ディフェンスに対するディフェンス”
として評価されるのです。
そしてその後、
パンチ・ミドルの攻防からギンサーンレックがラット・エウからの見事なコカし技。
綺麗な投げでしたね(苦笑)。
もつれて、ではなくここまで華麗にコカすと当然差がつきますよ。
まぁ、
ここまでは映像を通じてでもわかりやすいと思いますが、
一番のポイントは何もコカすとかディフェンス力だけではない、でしょ?
だったら、攻撃せずにディェンスとコカしだけ練習すればいいということになってしまいますよね。
自分が思うに、
差がついた要素は、ペットスパンの攻撃にあると思うのです。
ギンサーンレックに比べ、明らかに軽くはっきりとしないミドル・パンチ・・・、
ペットスパンの左ミドル、ほとんどがカットされていますよね。映像で見る限りキレもなさそう。
それに比べ、ギンサーンレックのミドル・パンチはスピードもキレもある。
何度も書いていると思いますが、
ムエタイで必要なのは「重くはっきりとした攻撃」。
ペットスパンの攻撃はポイントとなるには相応しくなく、なおかつコカされたりディフェンスされたり。
そして、
3ラウンド目にこれだけ差を付けられてしまっているのだから4ラウンドはがむしゃらにでもいくしかないペットスパン。でも、肝心なところで下がってしまう・・・。
すでに諦めてしまっているかのごとく、気持ちも見られない。
いくべきところでいかない、出るべきところで出ない、ギャンブラーがブーイングを浴びせているのもうなづけますね。
最後、レフェリーが止めたタイミングとしても仕方ない、「まだ勝負はわからないよ!」と抗議する人は皆無だったでしょうし、逆転する可能性は0%に近かったはず。
ムエタイを見慣れていないと「え?なんで止めたの?」となるかもしれませんが、ムエタイとしては止めても仕方ないほど差がついた試合でした。
ダメージ、という点のみをポイントとして見るのではなく、ムエタイは攻撃とディフェンスが一体となって美しい戦いを生み出します。
「判定がわかりにくい」
と簡単にくくらずに、その攻撃とディフェンスが一体となった美しさをちょっとだけ覚えていただけたら嬉しいですね。
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