キング・ムエ佐藤会長がムエタイで勝つ為の100の法則をキング・ムエ日記に書いている。
ムエタイを知らない人にも知っている人にも読んで欲しい内容だ。
今回のサブタイトルは~海斗戦で見せたタナデーの試合運びの妙~
下記キング・ムエ日記より引用
ムエタイで勝つ為の100の法則⑤
~海斗戦で見せたタナデーの試合運びの妙~
13日(水)の海斗の試合では、皆さんの期待に沿えず悔しい敗戦となってしましました。
残念さと悔しさと・・・気持ちは入り混じりますが、ムエタイは、いや、ムエタイに限らず試合や競技というのは、
勝ち負けがあって成り立つものですから、1勝は1勝、1敗は1敗として一喜一憂せず次に臨みたいと思います。
さて、今回の試合も、試合をすることでしか得られない貴重な経験・勉強をすることができました。
特に今回のタナデーの試合運びの上手さには、思わずうなってしまいましたね。
この試合、50-47、50-47、49-47という大差の負けだったのですが、前回の初対決では海斗がパンチ・ヒジを効かせて判定勝ちでした。それがほぼ1カ月でここまで差がつくというのは、実力差という面より戦術の上手さという面が大きいのだと思います。
試合の展開については、プレス発表された内容が詳しいので、ここでは簡潔にまとめますが、
第2R終盤からタナデー側にジワジワと賭けの流れが傾き、第3R終盤、一瞬のスキを付かれて真っ直ぐのヒザをもらってしまう海斗。ここで大きくタナデーに流れます。
後がなくなった海斗、前に出るもコカされさらに流れがタナデーへ。
そして、ここからタナデーは下がり始めます・・・。
いわゆる “外す” とか “流す” という戦法。
タナデーがさらに出てきて倒しにかかってくれれば、距離が詰まるわけですから、もしかしたら海斗の一か八かのヒジでも当たったかもしれません。しかし、当然のごとくそのリスクを犯さず、確実に勝ちにきているわけです。
タナデーが外してきているわけですから、海斗としては前に出るしか選択肢がなくなってしまったのです。
ここで海斗が出なければ、万が一にも勝ちはありません。すでにリードを許しているのですから。
だから、もちろん、確実にダメージを与え、まぐれでも当たればカットさせることができるパンチとヒジを使って、海斗は徹底的に最後まであきらめず追いかけ回します。
が、しかし、タナデーはこれを待っているのです。
どんな競技でもそうですが、相手の戦法・戦術・戦い方・・・がわかれば対処しやすいですよね?
この場合、海斗が前に出るという手段しかないので、タナデーとしては戦いやすいわけです。
老獪なタイ人選手が常にロープを背追って戦う試合を見たことがあると思いますが、それも同じ理屈です。
しかも、焦って前に出てくるのでスキが生まれやすい。
前蹴りで吹っ飛ばす、前に出るところにミドルを合わせる、パンチを打ってきたところにタックル気味に腰をとって後ろにつく、
・・・当然、さらにポイント差は広がります。
こうしてタナデーは大差を付けたというワケです。
第3Rと第4R前半でポイントを奪えば、この戦い方は非常に有効です。
タイ人選手がよくこの戦い方をするので、今になって始まったことではありませんが、タイ人特有の戦術の上手さは見習うべき部分が有りますね。
海斗にしてみれば、まんまと術中にはまったという感じですが、前に出る以外の選択肢はないので致し方ありません。
中盤で差を付けられなければ、タナデーもこのようには戦えなかったでしょう。
基本的に、下がることは印象として良くありませんからね。
スタミナ切れやハートが弱い、と捉えられかねません。
ただし、今回のような場合は状況が全く違いますから、ディフェンシブなテクニックと捉えられる。
だからこそポイントが付くのです。
この“外す”とか“流す”ことは、例えばポイントで勝っている選手は最後当たり前のように行います。
格闘技なんだから最後まで倒しに行け!とか、見苦しい!とか、特に最終ラウンドに外すことに対して様々な考え方があります。
まぁ、事の良し悪しはそれぞれが判断すればよいと思いますが、ディフェンス力を表現するのもムエタイで勝つ為の重要な要素です。
ポイントで勝っている方が、いかに上手に外すか・・・実はこの外し方の成否によって、次の試合にも影響を与えるのだとしたら??
実は、これは事実であって、上手な外し方ができれば、それだけテクニックがあると判断されるのです。
だから、次の試合はさらにレベルの高いマッチメイクがなされる。
繰り返しになりますが、ディフェンス力を表現するのもムエタイで勝つ為の重要な要素、ということを忘れてはいけませんね。
1/13(水)ラジャダムナンスタジアム「スックワンキントーン」メイン、カイトVSタナデー戦。
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